本コラムに興味を持っていただきありがとうございます。
生産本部製造部に所属している大門と申します。
今回は、私が担当している製品の出荷後に、納入先の設置作業で発生した障害について紹介をさせて頂きます。
障害が発生した装置は、「AES-EMC」という製品で、電子マネーチャージ機になります。
社内での検査を終え出荷を行った装置は、現地にて設置作業を行います。
その設置作業の際に、サーバーと接続出来ないという障害が起こりました。
何故サーバーと接続出来ない?
設置作業時にホストサーバーとの接続を行う為、個体毎にネットワーク設定を行っています。
ここでいうネットワーク設定とは?
・IPアドレス
・サブネットマスク
・デフォルトゲートウェイ
以上の3つの値を指します。
この値の中で、デフォルトゲートウェイの値が間違って登録されていました。
デフォルトゲートウェイとは
異なるネットワークを繋ぐ機器を指します。
例えば、パソコンをインターネットに繋ぐ際のルーターがデフォルトゲートウェイになります。
何故間違った値になっていたのか?
装置の出荷の際には、ユーザー別の設定データ(機能選択データ等)を登録しています。
その登録作業は、間違いを防止する為に必要なデータをパソコンより送信する方法を用いています。
パソコンより送信するのは、LAN経由で行っています。
しかし装置に対してのネットワーク設定は、手入力によって行っています。
手入力によるネットワーク設定の為、そこで誤入力が発生していました。
間違いを防止する為に、必要なデータの送信にはパソコンを使用していましたが、
装置のネットワーク設定が手入力であった為、間違いが発生してしまったのです。
検査で見落とした要因は?
手入力による間違ったネットワーク設定の状態でも、LAN経由で装置に必要なデータは送信出来ていました。
装置に対して設定データが送信出来ていることは、設定データを印刷し確認していました。
このことから、設定データが送信出来ている=ネットワーク設定は正しい!
と考えてしまい、見落とす結果となりました。
設定データを送信出来ているのに何故?
「LAN経由」と言いましたが・・・、具体的なネットワーク構成としては、送信するパソコンと装置はローカル(LANケーブルで直接接 続する)接続での作業になっています。
直接繋いでいる為に、デフォルトゲートウェイ(外部ネットワークと繋ぐ装置)を介さない状態でした。
(装置とパソコンは同一のネットワークアドレスの構成)
結果として、デフォルトゲートウェイについては、入力しているだけで検査の際に機能していない状態でした。
対策として・・・
装置の機能上、ネットワーク設定の作業はどうしても手入力を必要とする部分であった為、設定する作業者以外での複数人での確認を実施するルールとしました。
事例を踏まえた教訓
作業としてネットワーク設定を行い、設定データがパソコンから装置に対して送信出来ていることで間違いが無いと誤認してしまいました。
今回の件を通じて少しではありますがネットワークについて知ることが出来ました。
(同一のネットワークアドレス内での通信ではデフォルトゲートウェイは無視されてしまう!)
現在では、電子マネーチャージ機の後継機を生産しており、こちらでも同様の手入力作業が発生しますが、後継機には、USB端子を設けており手入力で行ったデータをUSBメモリで取り出して比較を行うシステムを導入することで人的なミスを発見出来る仕組みを構築しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回の事象が皆様のお仕事に少しでもお役に立てれば幸いです。
今後も私たち暁電機製作所のエンジニアは、製品の品質向上に前向きに取り組んでまいります。