納品した組立品が取りつかない!! 意外な理由とは?
製造部一筋18年目の吉田です。
今回は約7年前に納品したODM製品がお客様の組立時に取り付けできない障害が発生しました。
その障害を紹介致します。
<まずは間違い探し>
早速ですが、左の赤枠と右の赤枠で今回の障害に繋がった一つの違いがあります。
簡単な違いですので5秒以内を目標に頑張ってください。
写真の撮り方による違いは違いに含まれません。
また、右の写真は緑の基板に上に白い点々が映っておりますが、違いには含まないでください。
正解は「ねじが違っている」でした。
左の写真はなべ小ねじM2.6*4で、右の写真はなべ小ねじM2.6*6(P=4)になります。
P=4とはSW(スプリングワッシャー)とJIS小形平W(ワッシャー)があらかじめ組み込まれたねじになります。
ねじの種類まで細かく回答した方は組立が好きな方かもしれませんね。
ねじの長さの違いが分かった方は別の才能があるかもしれません・・・。
続いて第2問です。
左の赤枠と右の赤枠で一つ違いがあります。
第1問を5秒で回答出来なかった方は5秒以内を目標に頑張ってください。
今回も正解は「ねじが違っている」でした。
左の写真はなべ小ねじM2.6*6(P=2)で、右の写真はなべ小ねじM2.6*6(P=4)になります。
P=2とはSW(スプリングワッシャー)があらかじめ組み込まれたねじになります。
P=4とはSW(スプリングワッシャー)とJIS小形平W(ワッシャー)があらかじめ組み込まれたねじになります。
ねじの色が違うように見えますが、実は両方とも同じ三価ホワイトで一緒のメッキ処理になります。
処理の方法によって「薄黄色~青白い色」まで、色調をある程度コントロールすることが可能みたいです。
ちなみにねじの長さは同じでした。
<原因について>
今回の障害はねじの頭の部分と他の部品とが干渉して部品が取り付けできないというという内容でした。
なべ小ねじM2.6*4のねじを使用すべきところ、なべ小ねじM2.6*6(P=4)や小ねじM2.6*6(P=2)を使用してしまった障害になります。
基板にねじを固定した際の高さが異なります。
なべ小ねじM2.6*4は基板からの高さが2mmであるのに対し、なべ小ねじM2.6*6(P=4)は基板からの高さが3.2mmで、小ねじM2.6*6(P=2)は基板からの高さが2.7mmであるため、その高さの違いで他の部品と干渉してしまいました。
では、なぜ間違ったねじが取りついてしまったのかについて少し掘り下げていきます。
ねじの手配は我が社で行っておりました。
資材システムという部品などを発注するシステムがあります。
そのシステムを利用してねじの手配を行っており、手配の手間を減らすために使用するすべてのねじをまとめて登録して一括で手配できるようにしておりました。
登録した名前は「製品名+使用ねじ一式」としておりましたが、製品名が似た別の製品名で間違って登録をしてしまいました。
(“A”と言う製品と“Aケーブル”と言う異なる製品が存在し、本来「Aケーブル使用ねじ一式」とするべきところ「A使用ねじ一式」で登録していた!)
登録からしばらく時間が経った後、似た別の製品(A)の製作が決まり、登録されている「A使用ねじ一式」からねじの手配を行いましたが、手配途中で使用ねじが間違っていることに気付いてねじの種類を修正しました。(本来のAの正しい内容に修正!)
(Aの)ねじの種類が修正された後、この製品(Aケーブル)の製作が決まり、ねじの手配を行いますが、過去に手配した履歴を確認し、使用ねじの手配を「A使用ねじ一式」で行ってしまい、ねじの種類が修正されていること気付かずに間違ったねじが手配されてしまいました。
組立は協力企業様へ依頼しておりました。
組立図はありましたが、使用しているねじの種類までは記載されておらず、手配されたねじをそのまま使用してしまいました。
協力企業様からの納品後はねじが締まっているかの確認だけでねじの種類までは確認が出来ておりませんでした。
<再発防止対策について>
組立図の改定を行い、使用するねじの種類を記載するように変更致しました。
資材システムにて正式な製品名で使用するねじを登録して、一括手配できるようにしました。
<まとめ>
今回の障害はいろいろなミスが重なって起こった障害でした。
製品を作る際に必要な資料が足りていない場合や正確でない場合ミスが起こりやすくなるのは間違いありませんので、資料の充実は不可欠になります。
過去に比べると資料の充実や見直しは進んでおりますが、さらに進歩するためにこれからも取組んでまいります。
資材システムに代わる新しいシステムの導入の検討も進んでおりますので、導入することでいろいろと改善されるのではないかと思っております。
我々はよりよい商品を市場に届けられるよう、また購入していただいたお客様にご迷惑をお掛けしないように日々改善し取り組んでまいります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。