今回は自社製品の精算機プロジェクトにおいて発生した、OSがシャットダウンしない事象の取り組みについてお話しします。
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当初、私はこの精算機プロジェクトにプロジェクトマネージャーとして携わり、市場展開に向けた製品の開発に意気込んでいました。
しかし、精算機が現場に設置され安堵していた矢先に突如としてOSがシャットダウンしない事象に直面することになりました。
■OSがシャットダウンしない...
ある日、設置先の関係者から想定外の連絡が入りました。
精算機の電源スイッチボタンを押しても、何も反応がなく、OSがシャットダウンされないとのことでした。
■要因調査
まずはソフトウェアとハードウェアの両面から調査を開始しました。
先にソフトウェアの観点からOSのシャットダウン設定を確認しましたが、問題ないことが分かりました。
尚、OSのスタートボタンの電源ボタンを押して、シャットダウンができることも確認済みでした。
次にハードウェアの要因に焦点を当てました。
電源スイッチやPCボードの故障などが主原因となっていることを想定した上で設置現場で精算機の状態を詳細確認することにしました。
■原因は?
まず、電源スイッチやPCボードの故障を疑いましたが、幸いなことに、それらの部品は異常がありませんでした。
次に電源スイッチとPCボードとの配線を細かく、確認しました。
すると、驚くべきことにコネクタの接続位置が実は違っていたのです。
■設置現場の復旧作業
コネクタを正しい位置に接続し直しました。
そして、ついに、電源スイッチを押してOSが正常にシャットダウンされることを確認して、解決にいたりました。
■流出原因の調査と再発防止
コネクタの接続位置が間違っていたことについて、更に深く追求する必要がありました。
そして、その結果、2つの主要な要因が浮かび上がってきました。
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(1)まず、製造途中でノイズ・静電気対策部品を取り付けるために分解するのですが、元に戻す作業の指示書が不十分であることが判明しました。
≪再発防止≫
関係者とともに問題の根本的な原因を分析しました。
同様の事象を未然に防ぐ為に指示書の改善と作業手順の明確化が必要であるという結論にいたりました。
まず、指示書に写真によるコネクタ接続位置を明記しました。
作業者が迷うことなく、正確な接続位置を把握できるようにする為です。
また、作業内容や説明図を追加することで作業手順をより理解しやすくしました。
(2)そして、もう一つの要因は、ヒューマンエラーでした。
電源スイッチの動作確認が不十分であり、その為に今回の発生内容を見過ごされていました。
≪再発防止≫
同様の事象を再発させない為に出荷検査手順書を更新することにしました。
具体的には出荷検査手順書に電源スイッチ動作確認内容とその作業の実施有無が分かるチェック欄を追記しました。
■最後に
本不具合の発生以降に、同様の不具合は再発していないので、再発防止の効果が出ているものと判断しています。
特にリスク要因の抽出とリスク回避する仕組みの構築が製品品質の確保に大きく寄与していると強く実感しています。
改めて関係者の協力と取り組みの成果に感謝申し上げます。
今後も、より高い品質と信頼性を提供できるよう努めてまいります。