手順を飛ばして大波乱!? 検査方法改善のきっかけとなった作業漏れ
本コラムに興味を持って頂き、ありがとうございます。
生産本部 製造部所属、検査課の諸岡と申します。
今回は私が以前に製品検査で発生させた障害と、その改善についてご紹介させて頂きます。
・障害内容
とある製品の動作確認にてバーコードリーダーの設定を行いました。
この製品は、社内での検査が完了してからお客様による立会い検査を実施し、問題なければ出荷を行うという流れになっています。
しかし、お客様による検査の際にバーコードスキャン時の音が鳴らない症状が発見され、再設定を行う事になりました。
・原因調査
バーコードリーダーの設定は、設定手順書に記載された設定用のQRコード、バーコードを順番に読み取っていく方法をとっています。
その中で、ブザー音の設定を行うバーコードが読み取りにくい状態になっていました。
原因としまして、設定手順書を直接コピーしたものを使用していたため、バーコードの画像が粗くなっていた事が考えられます。
このバーコードの読み取りができていない状態のまま次の設定に進んだ事で、正しく設定が行われていない状態になっていました。
また、その後の動作確認でバーコードの読み取り確認を行いましたが、動作確認手順書にブザー音の確認項目が無く、読み取り内容の表示確認とバーコードリーダーのLED発光状態確認のみとなっていたため、バーコードスキャン時に音が鳴らない事を検出できませんでした。
※設定手順書の内容
このQRコード、バーコードを上から順番に読ませていく。
・再発防止のための改善
- バーコードリーダー設定治具の作成
バーコードリーダー設定の新たな方法としまして、カード型の設定治具を作成しました。
設定用のQRコード、バーコードは、手順書の元画像データをそのまま印字して使用しているため、以前までのバーコードが読み取りにくい状態は改善されています。
この冶具を使用し設定を行う事で、設定忘れや読み取り間違いを防止し、誰でも正しく設定が行えるようになりました。
- 動作確認手順書の項目追加
動作確認手順書のバーコードリーダー検査項目に、バーコード読み取り動作の際確認すべき検査内容を追加しました。これにより設定が正しく反映されているか分かるようにし、設定間違いや忘れを検出できるようになりました。
※変更後の動作確認手順書
設定が反映されているかを確認するために、バーコードを近づけた際に発光する事、バーコードの読み取り時、赤の十字が発光されない事、バーコードをスキャンした際にブザー音が鳴る事(今回問題となった部分)3つの確認項目を追加しました。
・まとめ
検査に関わる問題を防ぐには治具の作成や手順書の整備等、検査環境を整える事が必要不可欠であり、我が社の商品でもこのノウハウが活かされています。
今後同様の障害を起こさないよう、日々の検査を有意義なものにしていきます。